
ライプニッツは、どの年代においても、複数の分野の仕事を同時並行的に行っており、その多産性、多様性は、生涯変わることがありませんでした。このようなことが可能だったのは、一見異質に見える諸思想を並行的に結びつけ、どの分野にも共通する理論として単純化し、理論化するライプニッツの特質と深い関係があると思われます。
さて、興味深いことに、こうした理論化、単純化に中心的役割を果たしたと思われるライプニッツの哲学に関しては、生前公刊された大作としては「弁神論」(1710)しかなく、その全貌は現在もなお明らかになっていません(アカデミー版の全集は現在も刊行中)。彼の哲学の解明はこれからだといえるのです。